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キャンパスライフ

2024.02.14

大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」で注目。蔦屋重三郎・喜多川歌麿コンビの本で、本物の江戸文化に触れる!

みなさんこんにちは。日々の学園生活の中で本物の芸術に触れることで感性を磨く「本物教育」に力を入れる聖徳大学には、多くの貴重な文献が収蔵されています。今回はその中から、2025年NHK大河ドラマで注目を集める蔦屋重三郎が出版を手掛けた狂歌絵本を紹介させていただきます。聖徳大学文学部の松本麻子先生の解説で、楽しく古典文学に触れましょう!
解説:文学部 文学科 松本麻子先生

狂歌絵本『潮干(しおひ)のつと』とは?

狂歌絵本『潮干のつと』は蔦屋重三郎が版元となり、寛政元年(1789年)に刊行されたと考えられています。編者は朱(あけ)楽(ら)菅(かん)江(こう)、喜多川歌麿が絵を手がけています。聖徳大学にはこの本が2冊、収蔵されています。

狂歌は和歌の一種ではありますが、社会風刺や皮肉を込めたり、古典的な和歌や俳句のパロディーになっていたりと、遊び心があふれているところが特徴です。蔦屋重三郎が活躍した時代は「天明狂歌」といわれる狂歌が盛んで、たくさんの本が作られました。その中でも絵に重点を置いたものが狂歌絵本です。『潮干のつと』は喜多川歌麿の手がけた狂歌絵本三部作の一つで、『画本虫撰(えほんむしえらみ)』『百千鳥狂歌合(ももちどりきょうかあわせ)』に続くものです。平安時代の和歌の名人といわれる「三十六歌仙」をもじった36人の狂歌師が、貝をテーマにした歌を寄せています。美しい錦絵(多色刷りの絵)と狂歌を融合したのは、版元である蔦屋のアイデアで、彼の数ある出版物の中でも代表作の一つとされています。
「蔦屋重三郎」の名前が確認できます

2冊の『潮干のつと』を比べてみると

江戸時代の本や錦絵は、版木といわれる木版を使って印刷されていました。錦絵などの多色刷りのものは、色ごとに絵柄の異なった木版を彫り、何度も重ね刷りすることで完成させます。すると、その版木ごとに微妙に違った本や絵ができることになるわけです。聖徳大学が収蔵する2冊の『潮干のつと』も違った版木で印刷されています。だから、よく見比べると絵に違いがあったりします。

さあ、間違い探しです!下の2枚の絵、どこが違うか分かりますか?よーく探すと、何カ所か違うところがありますよ。

並べてみると、全体的に色彩が違うことが分かります。そして、微妙な絵の違いも

「実物」を見ることで分かること、感じること

このように写真でも楽しむことができるのですが、実物を間近で見るとまた違った趣があります。多色刷りの錦絵はこの時代から出版されるようになったのですが、特にこの『潮干のつと』は豪華な本のため、貝殻には雲母の粉末を用いた雲母刷りが用いられています。だから、見る角度によってキラキラ光ったり、色合いが違って見えたりします。また、2冊を見比べてみると、使われた紙や絵の具が異なっていることもよくわかります。文字をよく見ると横線の真ん中あたりにかすれがあるものもあり、これは筆で書いたのではなく版木で刷った字の特徴です。

そしてなんと言っても、写真で見るのとは迫力が違います。作り手の息吹が伝わってくるような迫力は、実物を見るからこそ感じられるのもだと、私は思っています。

企画展でも、授業でも。「本物」に出会える環境

聖徳大学には博物館が併設されていて、学術的に価値の高い資料を常設的に展示しています。しかし残念ながら『潮干のつと』のような貴重な本は普段は収蔵庫で保管されていて、一般の方は見ることはできません。収蔵庫にはピーターラビット・コレクションの初版本なども保管されています。これらの収蔵図書は年に数回開催される企画展などで無料で一般公開されますので、いつか『潮干のつと』の実物を目にする機会もあるかもしれません。

『潮干のつと』が展示されていなくても、興味深い展示が多くなされているので、オープンキャンパスキャンパス見学で本学を訪れた際には、是非、ご覧になってください。また、私は授業で大学が所蔵している江戸時代の百人一首を学生たちに見せています。このように聖徳大学には「本物」に触れる環境が整っています。みなさんに興味を持っていただければ幸いです!

松本先生、お忙しいところ、特別講義をありがとうございました。今回ご紹介いただいた絵本は、どちらも版画とは思えないほどの、はっきりとした発色で、オーラすら感じる作品でした。それもそのはず、お値段は新車が買えるくらいとのこと!みなさんにもいつかお見せできることができれば幸いです。

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「和のうた、和のこころ」3月3日(月)より聖徳博物館で展示スタート!

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次回3/23(日)のオープンキャンパスに参加し、展示会も楽しんでください! 

楽しい企画いっぱいでお待ちしています。


ライタープロフィール

M.Y
都内在住。スポーツ大好き、食べるのはもっと大好きなアラサー女子。松戸の魅力をご紹介します!

 

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