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学び
2021.01.26
『多様性の認識が何よりも大事』スコットランドの民族音楽に惚れ込んだ大学教授の思い
聖徳大学の教授インタビュー第2弾!
今回は音楽学部の髙松晃子先生にインタビューさせていただきました。
髙松先生は12月18日(金)に放送されたNHK Eテレ「ららら♪クラシック」という番組に出演されました。
この番組、私も拝見しましたがとっても勉強になりました!
みなさん「蛍の光」という歌はご存じですよね?
卒業式で歌ったり、地域によっては夕焼け放送で流れていると思います。
でもその「蛍の光」が、もともとはスコットランドから生まれたもので、「オール・ラング・サイン」という歌だというこをご存じの方は、きっと少ないはず。
今回の番組はこの「オール・ラング・サイン」についての放送でした。
今回の放送で、スコットランド音楽の第一人者として、非常にわかりやすく楽しく説明をしてくださった髙松先生のお話をお聞きしたいと思い、インタビューの協力をお願いしました!
では髙松先生よろしくお願いします!
早速なんですが、今回のテレビ出演の感想をいただいてもいいですか?
今回のテレビ出演では、隣の楽屋がストレッチマンだったことが嬉しかったですね!
ストレッチマンですか!?
そうなんですよ(笑)
そんなこともありながらですね、テレビ出演の方は楽しくさせていただきました。
まだまだスコットランドは知られていないところが多いので。「蛍の光」がスコットランド生まれという事を知らなかったとか、これほど独立性の強い地域だとは思わなかったなどの反響があり嬉しかったですね。
そうですよね。私含め多くの人が卒業式で歌う別れのための曲という認識だったのではないかと思います。
今回のテレビ出演はどういった経緯で決まったんでしょうか?
テレビ出演の依頼って、最初に少しお話聞かせて下さいという形でディレクターさんから連絡をいただくんですね。このご時世なのでZOOMでお話をしました。「蛍の光」が完成されるまでにほんとに紆余曲折あり、詩は詩、曲は曲で全く違うルートから成り立っていることや、本来は湿っぽい雰囲気ではなくパーティーのお開きの際に歌うことがあるなど、いろいろお話をしながら資料提供もさせていただきました。
テレビの内容はとてもわかりやすく、音楽に疎い私も楽しみながら見ることができました!音楽をあまり知らない人でも楽しめる内容でしたよね!
ところで先生が音楽の世界に踏み入ったきっかけはどんなことになりますか?
きっかけは小学校2年生ぐらいの時に、オルガンを買ってもらったことですね。6畳一間の家に住んでいたのでピアノは買ってもらえなかったんですが、音楽が好きだったのでとりあえず聞こえてくる音は全部弾いてました。何時間でも弾いて遊んでいられましたね。音に対する貪欲さみたいのもそこで身についていったのかなと。そこから合唱団に参加したり、4年生でついにピアノを買ってもらい、習い始めることになって、それ以降は音楽の部活に入ったり合唱の伴奏をしたりと、音楽三昧の生活をしていました。
習う前からピアノが弾けてたなんてすごいですね!それに聞こえてくるものを弾けるなんて…!
先生はどのようにそこから研究者の道を志したんでしょうか?
私は音大ではなく、総合大学の中の音楽科に入学しました。音楽だけではなく色々なことを学べる環境がいいなあと思っていたんです。もともと英語をやろうか音楽をやろうか迷っていたこともあり、どちらも学べるイギリスの音楽にたどり着きました。昔から、16世紀の声のアンサンブルが好きだったので、その時代のイギリス音楽を研究しようと思ったんです。
そこからどのようにスコットランドの民族音楽へ?
まず、入学した大学にその辺を専門にしている先生がいらっしゃらなかったことは誤算でした。でも、古い歌は現代の民族音楽と接点があると伺ったので、それなら今のものから取り掛かろうということになりました。もともとスコットランドでもイングランドでもよかったんですが、やっぱりスコットランドは他と違うところが多かったのでとても興味が湧きました。イングランドは研究している人も結構いたので、他の人と違うことをやりたいという気持ちもありました。
実際にスコットランドの音楽はどのように研究したんですか??
スコットランドで❝トラヴェラーズ❞と呼ばれている家を持たない流浪の民、流浪民が、すごく音楽を上手にする人たちなので、そこに住み込みで取材に行きました。それが博論のテーマでしたね(笑)。フィールドワークの2年間を通して、ジプシーみたいな人たちと一緒に生活しながら、歌を学んでいきました。これまでに研究してきたことを、何冊かの本に書いています。
こんなにたくさん!気になる本ばかりですね。今度読ませていただきたいです。
フィールドワークを2年間もされていたとのことですが、大変だったことや楽しかったことなどありますか?
私は車を運転しないのでバスを乗り継いで移動していたのですが、車内放送がないので降りるところがわからないんですよ。大きな荷物を持って同じところをぐるぐる回ったりしていました。また、英語圏なんですけど方言が強くて…。トラヴェラーズは極力荷物を持たない人なので、あらゆることを暗記していて、口頭で教えてくれるんですが、はじめはもう、訳がわかりませんでした。でも、歌を教えてもらうのは楽しかったですよ。どういう歌い方がトラベラーズらしいのか、自分が歌うのを聞いてもらって目の前でレクチャーしてもらいました。
本当にそれは大変そうですね。今と違ってスマホもない時代でしたし。
先生はそのような経験から「民族音楽学概論」という授業を現在教えていらっしゃると思いますが、それは具体的にはどんな内容ですか?
「民族音楽学概論」は教職科目となっていて、教員になるために学ぶ必修科目で、そこでは世界中の音楽を教えています。小中学校では、文科省の決まりで最初に身近な地域、例えば日本のお祭りの音楽を、次にアジアに行き、その後で世界の音楽を学ぶんですよね。私の授業では、実際にアイヌのムックリという小さい楽器を吹いてみたり、スコットランドのダンスを教えたりと年によって様々です。教員になりたい人は、好き嫌い関係なく取らなきゃいけない授業なので、いろいろ工夫しています。
民族音楽学概論オンライン授業の様子
教職科目だったんですね!それは教える上で大変なこともありそうですね・・・。
やはり最初はちょっと大変でしたね。でも最近はだいぶよくなりました。
以前は、「西洋音楽がいちばん偉い、その次が日本の古典芸能か何かで…」という序列のようなものがあって、「民族音楽学って何するの?」という偏見じみたものが見て取れました。でも、今はそういった感覚がなくなってきています。多様性を受け入れることが大事だと理解されてきたんだと思います。私もよく言うのですが、世界の音楽を全て好きになる必要はないんです。違うということを知るのが重要です。
多様性って本当に大事ですよね。これから先生になる人たちを受け持っていると思うんですが、将来こんな先生になってほしいという思いはありますか?
自分自身が社会の多様性を認識できる指導者になって欲しいですね。音楽で言えば、西洋音楽のルール1つに縛られるのではなく、スコットランド音楽のように違うものを知ると、他にもルールがあることがわかります。そうすると、そのほかの文化にも別のルールがあることを想像できるようになるので、応用が利くようになりますよね。そうやっていろんなことを試してほしいです。
先生の「民族音楽学概論」を学ぶことで多様性の認識はとても身につきそうですね。私も授業に参加してみたいです。ところで、将来教員になるために今頑張っている学生の定期演奏会があると小耳に挟んだのですが今年は開催できそうですか?
定期演奏会は延期なんですよね、とりあえず3月に、無観客で開催予定です。毎年、教員を目指す学生が演奏も頑張っていこうということで、「3,4年生のソロまたはデュオ」「1〜4年生の合唱」という二部構成で開催している演奏会です。音楽学部の数ある演奏会の中でも、お客様が多く評判がいいんですよ。今年はどのように実現可能か、今4年生たちが考えに考えて打ち合わせをしているところです。教員になる者として、今後自分たちも感染防止を徹底した授業づくりをしていかなければならないため、社会に出た時にこの経験が力になるといいですね。
やはりオンライン開催ですよね。生でみたい気持ちもありますがとても楽しみです。そしてこの感染防止の取り組みの経験は今後の教員生活で必ず役にたつでしょう。
最後になりますが高校生に向けてメッセージをお願いします。
好きなものに夢中になって何かに対して一生懸命に取り組んでほしいですね。
これがわかった「じゃあ次はこれを知りたい!」など小さい問いからいろんなことにどんどん広げられるようになってほしいです。「課題発見能力」というとたいそうなものに聞こえますが、要するに、小さな疑問を大きく育てること。それは、何かに夢中になれば自然に身につく力だと思いますよ。高校生の皆さん頑張ってください!
髙松先生ありがとうございました!先生のスコットランドのお話はとても楽しく、実際に授業を受けてみたくなりました。
定期演奏会の昨年の様子をこちらのブログに掲載しています。
また、聖徳大学のYouTubeにて動画配信もしていますので、そちらもぜひご覧ください。
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ライタープロフィール
埼玉県の高校を卒業し、千葉県の田舎にある大学へ進学。その後卒業し、現在大宮駅から聖徳大学に通い取材担当を務める24歳女性。食べることが大好きで松戸グルメ探索中。
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